第一回:レースの起源と初期の発展

第一回:レースの起源と初期の発展

■はじめに

レースと一言で言ってもそのバリエーションは豊富です。しかし、どのような経緯でレースは生まれ、どのように発展してきたのでしょうか。この記事では、レースの起源と初期の発展に焦点を当てて詳しく解説します。

■レースの語源と最初の記録

レースという言葉は、多くの説がありますが、一般にはラテン語で獲物を捕る為に使われた網を意味する「laqueus」から派生したとされています。これには、編む、紡ぐという意味も含まれています。
初期のレースは主に修道院や教会で使用され、宗教的な儀式で使用される装飾品や衣服に織り込まれました。その後、貴族や王室がこの織物の美しさと高級感に目をつけ、急速に人気を博しました。

■レースの受難

1300 年代から 1400 年代にかけて、イタリアの各州ではレースに重い関税が課され、厳格な贅沢品法が可決されました。 これにより、レースの需要が減少しました。1400 年代半ば、一部のレース職人はコストの安い亜麻の使用に目を向けましたが、他のレース職人は移住してこの産業を他の国に持ち込みました。よって、レースがヨーロッパ大陸の北西部で広く使用されるようになったのは 16 世紀になってからです。

 ■地域によるレースの発展

16世紀には、フランドル地方とイタリアがレース作りの中心地となりました。フランドル地域では、より実用的なレースが主流でした。特に、ブリュッセルやブルージュで作られたレースは、洗濯が容易で丈夫なものが多かった。このような特性から、一般市民にも広まりました。イタリアでは特にヴェネツィアがレース製作の中心でした。ヴェネツィアン・レースは、その繊細なデザインと高い品質で知られています。シルクや金糸を用いた高級なレースが作られ、その影響は後の高級リバーレースブランドのソフィ・アレットのデザインにも見て取れます。

■  社会とレース

16世紀と17世紀には、レースが社会的なステータスの象徴ともなりました。特に女性のドレスや帽子、メンズのカフスなどに使用され、その贅沢さは繊細なレース一つで、その人物の社会的地位や経済力が推測されるほどでした。

■  まとめ

レースの起源と初期の発展を通じて、レースがどのように多用途であり、多様な文化や社会に影響を与えてきたのかが見えてきたと思います。次回は、ヨーロッパにおけるレース文化の発展について深堀りします。
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